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2018年5月 7日

「働き方改革関連法案」、審議入りまでの曲折と今後

「歴史的な大改革」にふさわしい国会論戦となるか

sc180507.jpg 政府が今国会の最重要課題に掲げる「働き方改革関連法案」が、4月27日に審議入りした。全面審議拒否を続ける主要野党6党の「要求」を突っぱねて、大型連休谷間の5月2日に「7時間コース」と呼ばれる終日審議に踏み切った。安倍晋三首相が「歴史的な大改革」と胸を張る目玉法案だが、官邸と省庁の相次ぐ疑惑や不祥事などで政府・与党は会期末(6月20日)を意識せざるを得ない状況に追い込まれており、「日程と審議時間」をにらんだ“焦り”が目立つ。今年に入ってから審議入りに至るまでの紆余曲折を記録し、野党の動きや今後の展開を探る。(報道局)

衆院厚労委の審議時間、「30時間前後」に短縮案も

 政府は当初、2月下旬の閣議決定と国会提出を見込んでいた。しかし、厚生労働省の裁量労働制に関する不適切な調査データ処理問題を巡って迷走し、法案提出は4月6日と大幅に遅れた。この問題以外にも、裁量労働制の不正適用を理由とした東京労働局の特別指導に関する不透明な経緯などが浮上。現時点においても、これらは解明、決着した訳ではない。まず、主な流れを整理してみる。

【2018年1月】
4日=年頭記者会見で安倍首相が、22日召集の通常国会を「働き方改革国会」と名付ける。「(制定から)70年におよぶ労働基準法において、歴史的な大改革に挑戦する」と強調し、関連法案の提出と成立に意欲を見せる。

29日=衆院予算委員会で安倍首相が「平均的な方で比べれば、裁量労働制の労働時間が一般労働者より短いというデータもある」と答弁。裁量労働制の効果を強調。

【2月】
7日=自民党の与党審査となる合同会議で、(1)「残業時間の罰則付き上限規制」は大企業が当初案通り19年4月、中小企業だけ20年4月へ。(2)同一労働同一賃金は大企業、中小企業ともに当初案から1年遅らせてそれぞれ20年4月、21年4月へ。(3)裁量労働制の対象業務拡大、「高度プロフェッショナル制度(高度プロ)の創設」は当初案通り大企業、中小企業ともに19年4月で変更なし――の政府方針を正式に提示。

14日=安倍首相が衆院予算委員会で、「働き方改革関連法案」の裁量労働制に関する1月29日の同委員会での答弁について、「撤回するとともに、おわび申し上げたい」と謝罪。再三の野党の指摘に誤りを認めた。同日以降も首相が答弁の根拠とした厚労省の「2013年度労働時間等総合実態調査結果」について、加藤勝信厚労相が調査結果のデータを精査する考えを示す。

14日=自民党の合同会議は、施行期日の先送りなどを含む修正案の協議を行ったが、結論に至らず持ち越し。中小企業への支援や労働基準監督署の監督指導などに関する議論を展開。

16日=厚労省の調査データに疑義が生じている問題で、連合の神津里季生会長は会見で「裁量労働制であれば(労働)時間が少なくて済むような印象操作的な答弁を作った罪は極めて大きい。パンドラの箱を開けたようなものだ」と厳しく批判。…

 

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