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2018年5月21日

主要人材サービス企業の17年度決算

業績は好調、カギ握る人材の「質」向上

 人材サービス企業の3月期を中心とする2017年度決算がほぼ出そろった=表。空前の人手不足に加え、労働時間短縮に伴う外部人材の旺盛な需要増を背景に、各社とも16年度に続いて好調。18年度前半もこの流れは変わらないと予想されるが、労働者派遣法(15年改正)に盛り込まれた事業所単位と個人単位の「上限3年ルール」を今年9月末に迎えることなどから、派遣分野への影響が注目される。(報道局)

sc180521_2.png 最大手のリクルートホールディングス(HD)は2年連続の大幅な増収。売り上げシェア最大の人材派遣は海外が7895億円(前期比11.6%増)、国内も5092億円(同9.9%増)と二ケタ前後の伸びとなった。求人検索エンジンンの米インディード社を中心にしたHRテクノロジー事業も2185億円(同64.7%増)と大きく伸びた。同社は5月、米グラスドア社の買収も発表しており、17年度の海外売り上げ比率46%(同3ポイント増)から、18年度はさらに比率を高めて海外展開へ比重を移すとみられる。

 パーソルHDも、人材派遣が4810億円(同9.2%増)、人材紹介のリクルーティングも728億円(同10.1%増)と主要2事業が順調に伸びたことから、売り上げを大きく伸ばしたが、フリーペーパー「an」の休刊などによる一時的な減損計上により、当期純利益は半減した。

 正社員の技術者派遣・メイテックグループは、売上高936億円(同4.0%増)と過去最高を更新。派遣エンジニアの稼働状態はメイテック単体が98%とフル回転状態が続いており、今後は同社が看板としている「ハイレベル技術者」を維持した増員と早期配属を通して稼働人員をいかに伸ばせるかがカギになりそうだ。

 UTグループは、スマホ・自動車関連機器などの生産拡大に伴う「マニュファクチャリング事業」が大きく伸び、大人数を派遣する「コミット受注」によって収益力を高めたことから、売上高、利益とも16年度に続いて大きく伸ばした。nmsは中国子会社の清算などで売り上げは減らしたが、国内工場の統合などによる体質強化で収益は大幅に回復した。今年3月に東証1部に上場した日総工産は、無期雇用の「技能社員」を増やして単価アップを図ったことなどから、売り上げ、収益とも大きく伸ばした。

 人材派遣・請負と並んで、転職向け人材紹介・採用支援などの分野も熱気を帯びており、求人企業の広告件数が増加。エン・ジャパンの場合、求人広告サイト「エン転職」の利用拡大、転職先の早期離職を防ぐ「入社後活躍」政策などが奏功した。ディップも、アルバイト求人サイト「バイトル」の好調で売上高、利益とも好調に推移した。

就労者はこれ以上増えない?

 国内の人材需給は18年度も切迫の度合いをさらに強めることが予想される。17年度の有効求人倍率は1.54倍、完全失業率は2.7%で、「リーマン・ショック不況」で落ち込んだ09年度を底に、いずれもほぼ一本調子で改善が続いており、完全雇用状態にあると言える。

 しかし、…

 

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