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2020年4月13日

新型コロナと改正派遣法で岐路に立つ人材業界

雇用維持と企業存続を懸命に模索

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスが経済活動を止め、雇用不安に拍車が掛かっている。当時、未曽有の危機と言われた2008年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災を乗り越えて来た日本。いま、新たな「試練」の真っただ中で、「生きる、働く」の一翼を担う人材サービス業界も、雇用維持と企業存続をかけて懸命に活路を探っている。(報道局)

 意識の高い人材会社は、4月1日に施行された改正労働者派遣法に照準を合わせて運用体制を丁寧に整えてきた。いわゆる「同一労働同一賃金」の一環となる改正派遣法は、「派遣先均等・均衡」か「派遣元の労使協定」のいずれかの待遇決定方式を義務化した抜本改正。賃金を含む雇用管理のシステム改修や、改正法にかなった社内体制の構築などに投資した事業者の中には、この2~3月、減収減益を覚悟して派遣先と4月以降の契約交渉に臨んできたところも多い。そこに重なるように押し寄せた新型コロナ感染拡大によって、業界は強烈なダメージを受けている。

is200330.jpg 厚生労働省は3月27日、経団連など経済4団体に対して、新型コロナウイルス感染症の拡大に関連して有期契約、パートタイム、派遣などの雇用形態で働く人の解雇や雇い止めを極力避けるよう要請。3月に入ってから2度目で、契約更新に合わせて雇い止めなどが多発する懸念が強まっていることから、重ねて要請したものだ。厚労省は同時に、派遣労働者について日本人材派遣協会(派遣協)、日本生産技能労務協会(技能協)、NEOAの派遣・請負業界3団体に、派遣元の責務を定めた指針に基づき、就業場所の確保や休業などの措置を講じて雇い止めを避けるよう強く求めた。

 一方、雇用維持に努めたい事業者団体の派遣協と技能協は4月10日、経団連など経済団体に「影響を受ける派遣社員の雇用安定とその保護に関する配慮について」要請。派遣社員の雇用維持に加え、健康面と衛生面の配慮を要望した。また、雇用維持の一環では、製造系の技能協が厚労省に「派遣事業者が雇用調整助成金を利用する際の休業等規模要件の緩和」を求めた。雇調金の申請手続きは大きく簡素化が進んでいるものの、終息が見えない新型コロナ禍を踏まえると、更に踏み込んだ対象範囲拡大や緩和策が急務と言える。

「戦後最大の危機」は長期戦に突入

 緊急事態宣言を発令した4月7日、安倍晋三首相は「戦後最大の危機と言っても過言ではない。強い危機感をもとに、雇用と生活を守り抜いていく」と強調した。3月24日に東京オリンピック・パラリンピックの「1年延期」が確定してから、年度末を挟んでわずか2週間の間に...


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