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2020年8月17日

派遣法、「賃金水準」公表延期の背景と今後

雇用悪化の回避策を探る厚労省

 派遣元が「労使協定方式」を採用する際に用いる職種別賃金水準について、厚生労働省は来年度運用分の水準公表を秋に見送った。新型コロナウイルス感染症が経済と雇用に与える影響を見極める考えだ。雇用悪化の回避策を探る厚労省が打ち出した今回の判断の背景や、今後の展開と着眼点を整理する。(報道局)

 公表延期の方針は、7月29日に開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会の場で厚労省が説明し、公労使の一定の理解と了承を得た=写真。本来であれば今春施行の改正労働者派遣法に伴い、毎年6~7月に公表されるはずの職種別賃金水準。職業安定局長による「局長通達」として示され、派遣元事業所が来年度の派遣社員の賃金設定や派遣先との契約交渉の指標とする。構造や賃金水準は異なるが、「改正派遣法における毎年改定の最低賃金」と解説する専門家もいる。

sc200817.jpg 改正派遣法を巡っては、賃金設定について「派遣先均等・均衡」か「派遣元の労使協定」のいずれかの待遇決定方式が義務化され、この選択制2方式のうち「労使協定方式」を選択する場合には、局長通達の賃金水準より同等以上であることが運用の要件となる。施行初年度の今年運用されている局長通達は「2018年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」(賃構統計)と、「2018年度職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額」(ハロワ統計)の2種類が基になっている。これは昨年7月8日付で公表された。

 賃金水準の公表方法には、改正法施行前から「統計と運用時点の景況にタイムラグが生じる」という制度上の問題が懸念されており...


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