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2021年1月11日

コロナ感染急増、緊急事態再宣言

1~3月期は再びマイナス成長必至

 新型コロナウイルスの感染急拡大に対応するため、政府が8日に1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)に緊急事態宣言を再び出したことから、徐々に回復軌道に乗せてきた国内景気が再び悪化する懸念が高まっている。しかし、昨年4月に出した宣言当時とはさまざまな面で異なる部分も多く、どの程度の落ち込みになるのか、先行きは不透明だ。(報道局)

 昨年4月の宣言は全都道府県を対象に1カ月半ほど実施したが、その効果は鮮明に出た。感染者はピークの1日700人余から同20人台まで激減する一方、経済活動がストップしたため、4~6月の実質国内総生産(GDP)伸び率は年率換算で前期比28.8%減を記録。四半期ベースではリーマン・ショック当時の09年1~3月期の同17.8%を大きく上回る戦後最大の落ち込みとなった。

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都内の繁華街は再び閑散=1月8日・東京都港区新橋

 宣言が解除され、生産・消費活動が回復するに連れて徐々に景気も持ち直し、7~9月期の実質GDPは反動で同21.4%増と急上昇した。しかし、7月後半から8月半ばにかけて、感染者が再び増えて同1500人台となる「第2波」が到来したこともあり、欧米各国に比べると回復力は弱く、10~12月期は再び小幅なマイナスに戻ったとみられている。それでも、夏場以降は感染者数が"低位安定"で推移したことから、景気回復の期待は高まり、大企業を中心に年度後半の業績予測を上方修正する企業が相次ぎ、株式市場は一貫して上昇し続けた。

 こうした局面が変調をきたしたのは、11月に入ってから。感染者が再び同1000人台に増えてから連日急増し、年明けになると同7000人台まで増えるケタ違いの増加で、それが全都道府県に拡散する「第3波」に襲われた。政府が景気回復の切り札として10月から全面実施した「Go Toトラベル」など一連の「Go Toキャンペーン」が結果的に人の移動を促し、感染拡大の要因になったとの批判が起きた。「経済との両立」を掲げる政府は容易に中止しようとしなかったが、最も重要な医療現場が悲鳴を上げ、社会批判が強まるに及んで、年明けにようやく第2次の宣言に踏み切ったものだ。

 しかし、今回の宣言は規制業種を主に飲食店に限定。「Go Toキャンペーン」は中止し、企業には「7割のテレワーク」を要請。住民には不要不急の外出自粛を要請するという、第1次当時の宣言に比べるとかなり限定した内容になっている。

 このため、民間シンクタンクの景気予想は「小幅な落ち込み」とするところが多く、大和総研では1~3月期の実質減少分を「最大で1.4兆円程度、現実には0.9兆円程度」としている。日本経済新聞が8日に報じたエコノミスト10人の平均値は消費が1兆円程度下振れし、従来予測の1.5%増から一転して2.4%減のマイナス成長に戻るという。昨年4~6月期に比べれば小幅だが、とうてい楽観視はできない。近畿3府県(大阪、京都、兵庫)も宣言の対象になる見通しであり、...


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