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2022年3月 7日

23年大卒の就活解禁、企業の採用意欲はコロナ前に近い水準

人手不足が再び現出、内定後も就活続行の動き

 2023年卒業予定の大学生の就職活動が3月から解禁となった。新型コロナウイルスの感染が3年目に入り、多くの企業がコロナ下のビジネスに慣れてきたこともあって、採用意欲は昨年より旺盛で、コロナ前の水準に近づきつつある。ただ、企業を取り巻く雇用環境は大きく変化しつつあり、就活生は職業に対する長期的な展望を持つ必要がありそうだ。(報道局)

sc220307.png ディスコが2月に実施した企業の採用予定調査によると、前年より「増減なし」が60.0%で最も多く、「増やす」が26.6%、「減らす」が6.0%だった=グラフ。「増減なし」は前年とほぼ同じ比率だったが、「増やす」は11ポイント増え、「減らす」は6.9ポイント減った。 21、22年はコロナ感染の長期化で先行き不透明なこともあり、「増やす」は15%程度とそれまでの30%弱から半減していたが、今年はようやくコロナ前に近い水準に戻りつつある。

 企業規模でみても、採用数の多い大企業で「増やす」が34.9%と平均を大きく上回っている。業種別で「増やす」が多いのは「製造業」の29.9%、「流通・商社」の27.3%、「サービス業」の26.4%などで、「金融業」は12.1%程度にとどまっている。

 これはマイナビの企業調査でもほぼ同様の傾向がみられ、「増やす」企業の比率は文系で19.1%(前年比5.6ポイント増)、理系で22.9%(同5.6ポイント増)、理系大学院で13.4%(同4.5ポイント増)と文理を問わず前年を上回っている。

 就活支援企業の担当者によると、コロナ禍が3年目に入り、感染拡大期にはテレワークを実施するなどのノウハウができたこと、海外需要の回復などで業績回復にこぎつけた企業も多く、コロナ前までの人手不足が再び現出していることなどから、採用増に踏み切る企業が増えたとみられる。

 こうした情勢を反映して、企業、学生ともに就活の足並みは早まっており、2月1日時点で内定率はすでにディスコで20.2%(同6.7ポイント増)、リクルートでも13.5%(同3.6ポイント増)と昨年をかなり上回るペースだ。

 ただ、企業の内定出しが早まっても、内定先への就職を決めて就活を切り上げる学生は少数だ。リクルートによると、22年の場合、予定数通りに採用できた「充足」企業は52%で、「未充足」企業も半数近い46%あり、その理由として「内定辞退が多かった」「選考応募者が予定より少なかった」を挙げる企業が多かった。

 内定のピークは6月ごろになるが、その前後は複数企業の内定を得た学生と企業との間に内定辞退や「オワハラ」などが続出し、最終的に両者のマッチングが"落ち着く"のは夏休み明けぐらいになるのが例年のパターン。内定の早出し傾向は、企業、就活生の両方にとってあまり意味はないようだ。

 企業側が学生に何を求め、学生側が企業に何をアピールしたいと思っているかについて、リクルートの調査がある。それによると、企業側が重視するのは「人柄」「自社への熱意」「今後(入社後)の可能性」の三つがダントツに多く、学生側のアピール点としては「アルバイト経験」「人柄」「所属クラブ・サークル」が多い。

 双方の意識には多少のズレがあるが、共通していることは「大学で身に着けた専門性」や「大学の成績」などは重視されず、とりわけ企業側にそれが強く表れている。ディスコの調査でも同様の結果が出ており、「白紙の新入社員を社内で育てる」というメンバーシップ型社員の育成を志向する企業が依然として多いことがわかる。

3年以内の離職率、毎年30%余

 企業と学生の意識のギャップは、そのまま企業の定着率にも反映されており、厚生労働省によると入社後3年以内に辞める大卒は毎年30%強で推移している。理由は「労働時間、休日などの条件がよくなかった」「肉体的・精神的に健康を損ねた」「人間関係がよくなかった」などが多い。企業に入社しても、...


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