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2023年11月 6日

物価高対策を主眼とした「デフレ完全脱却のための総合経済対策」

「変革の3年間」、三位一体の労働市場改革などに集中

sc231106.jpg 政府は11月2日の臨時閣議で、物価高対策を主眼とした「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を決定した。同日夜の官邸会見で岸田首相は「デフレ脱却ができるかどうかの瀬戸際だからこそ、あらゆる手法を総動員して『稼ぐ力』を強化する」と表明。官邸1階の会見室に液晶モニターを用意し、直近の経済動向や課題に触れた後、年内に着手する住民税非課税世帯への給付や来年6月実施予定の所得税と住民税の減税などについて要所と狙いを説明した。経済対策の概要と、今後3年間を「変革期間」と位置づけて注力する「三位一体の労働市場改革」の展開について掘り下げる。(報道局)

 官邸会見は18時10分に始まり、19時過ぎに終了。終始落ち着いた口調で語り、岸田首相の増税イメージを揶揄(やゆ)するインターネット上での呼び名について記者に問われた際も、気色ばむことなく、軽く笑みを浮かべて「どんな呼ばれ方をしても、やるべきと信じることを実行する」と返した。会見場のペン記者席はコロナ禍で29席に絞られていたが、この日は37席に広がり、カメラ記者の人数制限も一時期より緩和されていた。

 こうした雰囲気の中で、岸田首相は「所信表明演説では『経済、経済、経済』と強調し、この政権は何よりも物価高対策、そして経済対策を重視しているとの決意を申し上げた。その決意を『デフレ完全脱却のための総合経済対策』として政府・与党で本日決定した」と切り出した。定額減税などに国・地方、民間投資を合わせた全体の事業規模は約37.4兆円で、2023年度補正予算案を今月下旬に決定し、臨時国会中の成立を目指す。

 公表した経済政策の方向性は、9月25日の官邸会見で示されていた。今回の政策に至った岸田首相のロジックを整理すると、まず、2つの大きな目的として(1)物価高に苦しむ国民に対して成長の成果を適切に還元(2)長年続いてきたコストカット型の経済から30年ぶりに歴史的転換を図る----と強調。今後、3年程度を変革期間として、三位一体の労働市場改革や持続的賃上げを伴う消費の活発化、DX・GXなど、企業の新陳代謝による経済の供給力の強化・高度化などに集中する。

 2つの目的を着実に実行できるように、(1)物価高への対応(2)持続的賃上げと地方の成長(3)国内投資の促進(4)人口減少対策(5)国民の安心・安全の確保----の5本柱を推し進める方針だ。

 この前提を踏まえた11月2日の会見は、政策方針に項目と予算額を付けて特徴や狙いを説明した格好。賃上げと定額減税の効果を来年6月に重ねる手法については「賃上げとの相乗効果を発揮できるタイミングを考えた。ボーナス月である6月であれば、双方の効果を給与明細で目に見える形で実感できる」と力説した。一方、9月の会見で発言した「税収増を適切に還元」は、減税なのか給付なのかで与党や財務省を混乱させ、国民にも感情的に受けが悪いと察して、「還元」というフレーズは最後まで使わなかった。

規制・制度改革、「この10年間の経済対策で最多の36項目」と自負

 岸田首相は「稼ぐ力」の強化策を説明する中で、「予算、税、制度・規制改革など、あらゆる手法を盛り込んだ。特に規制・制度改革は36項目、2013年以降に取りまとめられた経済対策では最多となる。あらゆる手法を総動員して『稼ぐ力』を強化する」と述べた。打ち出した政策のうち、...


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