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2024年2月26日

詳報:厚労省の「派遣労働者実態調査」、派遣先と当事者対象

5年ごとに実施、「同一同一」前後の変化

 厚生労働省は「雇用の構造に関する実態調査」の一環として、概ね5年ごとに「派遣労働者実態調査」を実施している。派遣元事業者ではなく、派遣先となる受け入れ企業と派遣社員の双方から意識面を含めて把握する大規模調査で、政策の立案や判断材料として重要視されている。直近では2022年の調査結果が公表されており、「同一労働同一賃金」を導入した20年4月施行の改正労働者派遣法を挟んだ「前後の変化」もつかめる。厚労省の見解なども交えながら、「派遣」を取り巻く足元の状況を解析する。(報道局)

 2022年実態調査の要旨を整理すると、派遣社員が就業している事業所は全体の12.3%(前回17年比0.4ポイント減)、過去1年間に教育訓練・能力開発を行った事業所の割合は69.7%(同10.7ポイント増)。また、派遣社員の平均年齢は44.3歳(同2.3歳増)で、平均賃金(時給)は1510円(同144円増・10.5%増)。「今後も派遣で働きたい」は34.2%(同7.5ポイント増)となっている。賃金の大幅増や派遣で働く意識の満足度などについて、厚労省の政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室は「同一労働同一賃金が導入されたことが要因のひとつではないか」とみている。

 調査対象数は派遣先を含む1万7462事業所で、有効回答率が49.7%。派遣社員の調査対象数は1万978人で、有効回答率が64.8%。事業所に対しては「派遣社員を就業させる理由」「受け入れない場合の理由」「3年前と比べた派遣社員数の変化」「過去1年間の派遣社員からの苦情」など18項目。派遣社員については「登録している派遣元事業所数」「現在の派遣就業に関する状況」「派遣元・派遣先への要望」「今後の働き方の希望」など10項目――と、いずれも現状と意向をつかむのに適した設問となっている。

 派遣元に毎年提出が義務付けられている「労働者派遣事業報告書」を基にした集計とは異なり、受け入れ企業と派遣社員の考え方や気持ちを含む現場実態が垣間見える。調査結果を深掘りしてみると、派遣社員が就業している産業は、「製造業」が23.6%と最も高く、次いで「情報通信業」が23.1%、「金融業、保険業」が21.0%。事業所規模別では「1000人以上」が83.9%、「300~999人」が66.8%、「100~299人」が47.8%、「30~99 人」が26.9%、「5~29人」が8.4%と、規模が大きいほど派遣社員が就業している事業所の割合が高くなっている。

sc240226.png 派遣社員を就業させる理由(複数回答3つまで)をみると、「欠員補充など必要な人員の迅速確保」が76.5%(同3.4ポイント増)と最も高く、次いで「一時的・季節的な業務量の変動対処」が37.2%(同1.4ポイント増)、「軽作業、補助的業務」が30.9%(同6.4ポイント増)、「専門性のある人材活用」が19.9%(同3.8ポイント減)などとなっている。この傾向に大きな変化はみられない=グラフ

新規調査、派遣料金に関する派遣元からの要望の有無と対応

 今回新たに、派遣社員が就業している事業所に対して、不合理な待遇差の解消のために派遣元から派遣料金に関する要望があったかどうかを尋ねたところ、「要望があった」が38.0%、「要望が無かった」が 60.0%となっている。要望があった事業所のうち、求めに応じてとった対応(複数回答)をみると、「求めに応じて派遣料金を上げた」が 91.4%と大多数の事業所が派遣料金を上げている。

 過去1年間に同一の組織単位での派遣就業期間が個人単位の期間制限(3年)に到達した派遣社員がいた割合は24.6%。また、個人単位の期間制限への意見をみると、「今のままでよい」が29.0%と最も高く、「制限は不要」が20.9%、「制限は必要だが、3年より延長すべき」が17.2%となっている。

派遣社員の最新の属性や収入源など

 派遣社員へのアンケート結果を分析すると、「45~49歳」と「50~54歳」が15.8%と最も高く、次いで「35~39歳」が14.0%。これを性別でみると、男性は「35~39歳」が19.4%と最多で、女性は「50~54歳」が20.3%と最も高くなっており、僅差で「45~49歳」が19.9%となっている。トータルの平均年齢は44.3歳で、調査ごとに男女とも高年齢化が進んでいることがわかる。

 生活をまかなう収入源をみると、...


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