人材ビジネス会社の2025年9月(第1、2四半期累計)連結中間決算が出そろった。24年に続き、人手不足を背景にした大幅賃上げなどが追い風となって順調に業績を伸ばす企業が相次いだ。しかし、人手不足の慢性化がさらに鮮明になっており、業界全体が「人材の高度化」と「生産性の向上」に待ったなしの状況だ。(報道局)
事務系最大手のリクルートは、国内の人材派遣は堅調だったが、海外の需要減によってわずかに減収となった。しかし、求人検索の「インディード」を柱とするHRテクノロジーが収益をけん引するなど、通期予想は売上収益を1.2%増、営業利益を15.4%増に上方修正した。
パーソルは派遣、紹介とも堅調に推移して売上収益は4.9%の増収。利益面も二ケタ増と過去最高を更新する勢いだ。紹介事業ではAI活用による生産性の向上が目立った。通期でもこの勢いが続くとみて、目標にしている営業利益の660億円、調整後EBITDAの10%成長を達成する見通しだ。
ヒューマンは派遣単価の上昇などで人材分野の売上高が3.3%増、デイサービスの利用増などで介護分野も4.4%増と安定的に推移。通期も売上高を1036億円(同3.3%増)、営業利益を36億円(同5.7%増)と堅実な伸びを見込んでいる。
技術系は人材の争奪戦がさらに激化している。メイテックは今年もエンジニア数を減らしたが、稼働率の上昇などでしのいだ。自動車などのメーカーも技術開発投資は活発だが、下半期はトランプ関税の影響が本格的に出て来る可能性があり、警戒を強めている。
NISSOはソフトウエア投資などが活発で、人材確保に注力。UTもエンジニア数の減少で減収となったが、稼働時間の増加などで営業利益率は改善した。nmsは国内外の顧客企業の生産調整による減収をHS事業(人材ビジネス事業)などでカバーし、全体の売上高は微増だった。
テクノプロ(6月期決算)は7~9月期の売上収益が624億円(同7.9%増)と堅調。国内技術者が約2万8000人と1年前より1800人近く増えたが、稼働率は94.4%(同0.8ポイント減)と低下した。米企業の傘下に入り、12月に上場廃止の予定。ワールドインテックを擁するワールドホールディングス(12月期決算)は、人材教育や不動産の好調により、1~9月期の売上高は2006億円(同16.9%増)と二ケタ増の高成長が続いている。
人材紹介・求人メディアでは、ディップが人材サービス、DX事業とも増収を維持したものの、「スポットバイトル」の先行投資などで減益。通期も売上高600億円(同6.4%増)、営業利益120億円(同10.5%減)の増収減益を予想している。エン(10月にエン・ジャパンから社名変更)は構造改革が道半ばで減収が続いており、通期も売上高を620億円(同5.3%減)と見込んでいる。
派遣、転職とも頭打ちの可能性
派遣の就業者は増えつつあるが、勢いは鈍っている。日本人材派遣協会によると、全国513事業所における派遣社員の実稼働者数は最新の今年4~6月平均で約43.4万人となり、4四半期ぶりに前期より減少。増加率の前年比も昨年の3%台から今年は2%台に下がっており、就業者数はピークアウトした可能性が高い。
転職についても増加傾向が続いてはいるが...
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