企業などに障害者雇用を義務付けている法定雇用率が、7月から現行の2.5%から2.7%に引き上げられる。引き上げは障害者雇用促進法の見直し規定に基づく措置だが、雇用率の引き上げだけでなく、雇用が義務化される企業規模も広がる。障害者の雇用数は年々増え続けて70万人を超えたが、定着率や就労環境の実態となると課題山積で、2026年は雇用増だけを主眼にしてきた従来政策の見直しが進む年になりそうだ。(報道局)
7月の法定雇用率の引き上げにより、企業の法定雇用率は2023年時点の2.3%から、わずか3年で0.4ポイントも引き上げられることになる。また、雇用義務のある企業も従業員40.0人以上から37.5人以上に引き下げられ(短時間勤務などの場合は0.5人にカウント)、雇用状況を毎年ハローワークに報告する義務が生じる。公的機関も国と自治体は3.0%、教育委員会は2.9%にそれぞれ引き上げられる。

「雇用の質」を軸に報告書を取りまとめた
厚生労働省の有識者会議(2025年12月)
企業の障害者雇用数は着実に増えている。厚生労働省の「障害者雇用状況」調査によると、2025年6月時点の雇用数は70万4610.0人(前年比4.0%増)と22年連続の増加となった。障害の内訳は、身体障害者が約37.4万人と過半数を占め、知的障害者が約16.2万人、精神障害者が約16.9万人。身体、知的障害者が伸び悩む一方、18年度から精神障害者が雇用率算定の対象になったことから、精神の伸びが二ケタ増で続き、その結果、知的障害者を上回る数になっている。
しかし、雇用数の増加にもかかわらず、企業側に障害者雇用が浸透しているとは言えない。実際に雇用している実雇用率は2.41%で、法定雇用率の2.5%を下回っているうえ、達成している企業も約5.5万社に過ぎず、雇用義務のある企業に占める比率は46.0%と半数にも届いていないからだ。
企業規模別に実雇用率をみると、法定雇用率を達成している企業は従業員1000人以上の2.69%だけで、1000人未満の企業は未達成。また、未達成企業は約6.5万社あるが、そのうち1人も雇用していない企業は過半数にあたる3.7万社に上り、その数も増えている。
これらを総合すると、企業の障害者雇用は「特例子会社」などを通じて雇用できる大企業に特化しており、経営余力のない中小企業は後ろ向き。また、未達企業は「納付金」という"罰金"を払わなければならないが、障害者雇用に必要な「合理的配慮」などの手間を考えると、「納付金」の方が楽と考える企業の実態が浮かび上がる。これでは、法定雇用率を引き上げても、いずれ雇用数が頭打ちになる可能性が高い。
また、厚労省が雇用数の拡大を急ぐあまり、これまで雇用の「質」にまで手が回らず、企業側も障害者を「戦力」として扱う意欲に欠ける傾向があった。その結果、早期離職者が絶えず、精神障害者では就労1年後の定着率が半数近くまで下がるなど、その状況が顕著に表れている。
パーソルグループの障害者雇用支援企業、パーソルダイバースが昨年暮れに発表した「企業の障害者採用に関する調査」では、7月予定の法定雇用率2.7%の達成について、「困難」と答えた企業は19.2%、「やや困難」な企業は33.4%で計52.6%と過半数を超えた。企業側の負担感は間違いなく上がっている。
また、企業が求める障害者の人材は「安定・定着志向の人材」が45.7%で最も多かったが、同社が5月に実施した障害者対象調査では、「成長・活躍志向」が38.1%を占めており、企業と障害者の間では志向のギャップが大きいこともわかった。これも、雇用者増、法定雇用率の達成を第一目的とした雇用政策が転換期に来ていることの表れと言える。
「障害者雇用ビジネス」(代行ビジネス)にガイドライン設定へ
こうした課題を引き受け、障害者雇用の裾野を広げる活動で注目されているのが障害者雇用ビジネスだ。企業は障害者を雇用するが、実際の業務は支援企業が用意する農園やサテライトオフィスで行う形態。厚労省によると...
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