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2014年11月25日

廃案の派遣法改正案、「幻」となった公明策定の「修正案骨子」  焦点となる年明け再々提出の際の取り扱い

 政府提出の労働者派遣法改正案は21日の衆院解散に伴い、廃案となった。12月の総選挙で政府・与党が過半数を得た場合、公労使の三者構成による労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の建議に基づき策定された改正法案は、再提出されることが見込まれる。一方で、廃案までの顛末(てんまつ)の中で注目される動きのひとつに、10月31日の衆院厚生労働委員会が流会する原因となった与党・公明の「修正案骨子」(未定稿)の存在がある。この内容と年明けの通常国会に“3度目の正直”として提出される際に、その取り扱いが政府・与党にとって課題となる模様だ。

 まず、派遣法改正案は、今年の通常国会における法案条文の形式的誤記をめぐる「廃案」も含めると、次がある場合は厳密に言うと「再々提出」となる。政府および所管省庁の厚生労働省は、この法案に限った対応ではないが、速やかな成立と急ぎ足で施行に向けた準備を進めるのが常道だ。

 年明けの“仕切り直し”の提出を念頭に置くと、気にかかるのが公明の「修正案骨子」(未定稿)だ。これは、強硬に反対する野党、基本的には賛成だが採決の際の態度は未定とする野党などと「歩み寄り」を模索したものだ。2閣僚辞任の影響が審議日程を窮屈にする中で、31日の審議の流会は政府・与党にとって痛打だった。連休を挟んだ11月4日に「修正案骨子」は自民との共同歩調を優先して撤回され、内容は「幻」となった。

 ただし、3度目の国会提出となると、与党内でこの幻の修正案をどのように生かすかの取り扱いが焦点となる。アドバンスニュースの取材を総合すると、公明のあくまで未定稿の修正案は流会当日にも報じているが「4項目(計6点)」で、内容としては、(1)派遣法の運用に当たっての考慮事項の追加、(2)雇用の安定を図るための措置についての規定の明確化、(3)期間延長の理由説明時期の明確化、(4)検討条項の改正――の4項目。

 それぞれが指している概要は、

(1)派遣就業は臨時的・ー時的なものであることが原則であるとの趣旨を考慮することを規定する
(2)①特定有期雇用派遣労働者に対し派遣元事業主が行う雇用の安定を図るための措置として、派遣先への直接雇用の依頼を明記する
      ②雇用の安定を図るための措置のうち派遣労働者としての新たな就業の機会の提供に関して、派遣労働者の能力、経験などに照らして合理的なものでなければならない旨を明記する
(3)派遣先が派遣可能期間を延長するに際し労働組合などから意見があった場合の当該労働組合等への理由などの説明を、延長する前に行うことを明確化する
(4)①本法施行後3 年を目途として行うこととしている検討に加え、新法施行後の通常の労働者及び派遣労働者の数の動向などの労働市場の状況を踏まえて、雇用慣行に悪影響を及ぼしているおそれがある場合には、新法の規定について速やかに検討を行う
      ②政府は、労働者派遣における待遇の均等または均衡を含めた派遣労働者の処遇の改善のための施策のあり方について検討するため、調査研究その他の必要な措置を講ずる――の計6点となっている。

 もちろん、上記は「未定稿」かつ「取り下げている」という状況だが、野党側に開陳した以上、政府・与党は総選挙後に過半数を維持して再び提出する際にどのように取り扱うか、実務者の議員を中心に検討することになりそうだ。

 

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