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2016年12月20日

同一労働同一賃金の指針案を提示・公表  政府の働き方改革実現会議

 関係閣僚と有識者で構成する働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)は20日、首相官邸で第5回会合を開き、政府が策定した「同一労働同一賃金のガイドライン案」が正式に提示・公表された。「働き方改革」のひとつとして着手しているテーマで、公表されたガイドライン案には、同一労働同一賃金の実現に向けて、「正社員と非正規の労働者の待遇差がどのような場合に認められるのか、認められないのか」などを事例とともに記している。政府は来年の通常国会に関連する労働法制の改正案提出を目指すが、法改正の手順などを踏まえると、現実的には秋の臨時国会での提出・審議入りの可能性もあり得る。ガイドラインは、改正法の施行後に効力を持つ格好となる。

 安倍首相は会合で「(日本は)能力や経験など、さまざまな要素を考慮して働く方の処遇が決定しているので、私も、かつて、同一労働同一賃金の導入は直ちには難しいと話してきた。しかし、女性では結婚、子育てなどもあって、30代半ば以降に自ら非正規雇用を選択している人が多く、非正規雇用で働く方の待遇を改善し、女性や若者などの多様な働き方の選択を広げていきたいと思う。このため、何とかして(日本に)同一労働同一賃金を導入したいと考え続けてきた」などと、自身の考え方の変遷を説明。今後の進行については、「実現会議の意見を聞き、さらに関係者の考え、改正法案についての国会審議を踏まえて、最終的に確定していき、改正法の施行日に(ガイドラインを)施行したい」と述べた。

 同一労働同一賃金の導入は、同じ企業や団体の中で正社員と非正規の労働者の不合理な待遇差の是正が目的。基本給や手当、福利厚生などに分類したうえで基本的な考え方と具体例を挙げている。待遇差については、基本給が職業経験や業績、勤続年数に応じて支払われるケースや、賞与が会社の業績に対する貢献度に応じて支払われるケースは「同水準の支給が原則」としつつ、職業経験や会社貢献度などに一定の違いがある場合には待遇差を認める、としている。

 一方で、時間外や深夜、休日手当は同じ割増率、通勤手当、出張旅費、慶弔休暇、病気休職などは「待遇差を認めない」とした。派遣労働者については、職務内容などが派遣先の労働者と同じ場合に、派遣元事業者は賃金、福利厚生などの待遇が同様になるようにしなければならないとしている。

 他方、同一労働同一賃金の導入に向けては、今月16日に厚生労働省の有識者検討会がガイドラインの「考え方」や「位置づけ」などに関する中間報告を提示。賃金を決めるルールの明確化を強調したうえで、「ガイドラインの制定・発効にあたっては、適切な検討プロセスを経ることが望ましい。現状ではガイドライン案の法的位置づけは不明確であることから、ガイドライン案は現時点では効力を発生させるものではない旨をきちんと周知すべき」と、現場の混乱回避を明記している。

 この検討会は今年3月に発足。政府の実現会議は半年後の9月に設置されている。

 

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