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2018年3月 1日

「裁量労働制の拡大」削除を指示、安倍首相  「働き方改革関連法案」は今国会に提出へ

 労働時間に関する不適切な調査データ処理問題などをめぐり、安倍晋三首相は28日深夜、今国会での提出を目指す「働き方改革関連法案」(8本セット)から「裁量労働制の対象業務拡大」の部分を削除するよう加藤勝信厚労相に指示した。その直後の1日未明、安倍首相は報道陣に対し、「今回提出する働き方改革法案の中において、裁量労働制は全面削除するように指示した」と述べた。現時点でその他の部分の削除は考えておらず、「働き方改革関連法案」は3月中旬までに提出する方針だ。

 安倍首相は28日夜、首相官邸に加藤厚労相や自民、公明の幹事長らを呼び、裁量労働制の対象業務拡大の部分を削除するよう指示。今後、裁量労働制の実態を調査、把握したうえで議論し直すよう求めた。

 安倍首相が2月14日、裁量労働制を巡る衆院予算委の答弁を撤回・謝罪してから10日余りの間に、データの異常値が相次いで発覚。厚生労働省は問題となっている「2013年度労働時間等総合実態調査」の1万1575事業場の全データの再精査を進めているものの、「なくなっている」(厚労省)としていた調査票の原本(紙ベースで段ボール32箱)が厚労省の地下倉庫で確認されるなど、政府・厚労省の不手際や不備が拡大していた。

 政府は、法案ごとに大企業と中小企業で施行期日を先送りする案を具体化させているが、党内からは「裁量労働制を残して法案を提出しても、(国会審議で)答弁に耐えられない」といった声が挙がり、「期日変更」以外の対応も迫られていた。安倍首相は今回、「裁量労働制の対象業務拡大」のみを削除して事態の収拾を図りたい考えだ。衆院では28日夜に2018年度予算案が可決され、参院に送られたが、野党は参院予算委員会でも政府・厚労省の一連の失態を厳しく追及し、「高度プロフェッショナル制度」創設の削除なども迫る構えだ。

 

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