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2021年1月27日

大内教授が「DX・AI時代の人材像」予測 人材協の新年オンライン講演会

 日本人材紹介事業協会(渡部昭彦会長)は27日、新年オンライン講演会を開き、会員企業から約150人が参加した。渡部会長は「ポスト・コロナの世界は以前と同じようには戻らないだろう。働き方は多様化しており、ジョブ型雇用の動きも強まっている。コロナ禍で向かい風の中にいるが、ピンチをチャンスに変えて進もう」と呼び掛けた。

 厚生労働省の松原哲也・職業安定局需給調整事業課長が「職業紹介の現状と課題」と題して講演。松原氏は今後の職業紹介ビジネスを展望するための視点として(1)付加価値の高いエージェント(2)紹介事業と募集情報の提供事業(求人メディア)(3)紹介事業の予測と展開――の3点を挙げた。その中で、医療、介護、保育分野の紹介手数料の「適正基準」を含めた優良事業者の明確化に乗り出していることを説明。また、ITの進展で紹介と求人広告の境界があいまいになっている状況を指摘し、このほど有識者の「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」を立ち上げ、新たなルールづくりの議論を始めたことを解説した。

 続いて、神戸大学大学院法学研究科の大内伸哉教授が「デジタル時代の雇用と労働」と題して講演。日本は労働力人口の減少やコロナ禍で、働き方が大きく変化すると予測。そのキーワードに「DX(デジタル・トランスフォーメーション)・AI(人工知能)代替」「テレワーク」「フリーワーカー(自営的就労者)」の三つを挙げた。

 DX・AIの普及は、日本の雇用を従来のメンバーシップ型からジョブ型雇用に変える大きな要因となり、「今後の人間の仕事は知的創造的な業務に特化する」と強調。そうした仕事には「自営型テレワーク」が適しており、労働市場はさらに流動化すると予測するなど、人材ビジネスにとってもビジネスチャンスの拡大につながる可能性を説いた。


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