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2022年1月25日

兼業・副業のメリット、デメリットは 労政フォーラムで好事例研究

 労働政策研究・研修機構の労働政策フォーラム「副業について考える」が21、25日の両日、オンラインで開かれた。

 始めに濱口桂一郎・同機構労働政策研究所長が厚生労働省の「副業・兼業促進に関するガイドライン」などの制度概要と海外制度を概観。川上淳之・東洋大学准教授が「副業の実態と課題」と題して基調講演し、副業の多様性に目を向けることが重要であり、ワークライフバランスのうえで課題もあることなどを解説した。

 具体事例では天明純一・新生銀行グループ人事部マネージャー▽竒二(きじ)丈浩・IHI人事部ワーク・ライフ企画グループ部長▽脇奈津子・「一坪茶園」代表、サントリー未来事業開発部の3人が各社の取り組みを説明した。

 新生銀は18年度から全社員を対象に兼業を解禁し、現在、約90人が兼業中。IHIも昨年から「セカンドジョブ制度」の運用を始め、約80人が副業に従事。「一坪茶園」はサントリーの社内ベンチャーとして19年に創業し、生産者と消費者をつなぐユニークな取り組みを展開中だ。新生銀、IHIともに人材の多様化を目的に導入したが、本業とバッティングしないために「社内ルールの明確化」などの施策を実施しているという。

 パネルディスカッションでは、副業の場合の労働時間管理などが焦点になったが、「本業に食い込むほどの副業はやっていない人が大部分で、自己管理ができているようだ」(天明氏、竒ニ氏)、「体を壊してまで入れ込むのは本末転倒」(脇氏)など、自己管理の重要性を強調する声がもっぱら。「限られた時間内で仕事をする場合、事前の段取りが非常に大切」(脇氏)など、示唆に富む意見が多く出た。いずれも好事例の取り組みとあって、デメリットに関する意見は出なかった。

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