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2022年7月26日

採用方法の多様化と社内理解がカギ 「転職と中途採用」で労政フォーラム

 労働政策研究・研修機構の労働政策フォーラム「転職と中途採用について考える――キャリア採用の取組を中心に」がオンラインで22、26日の両日開かれた。

 22日は、同機構の藤本真主任研究員が研究報告した後、事例紹介として湖池屋経営管理本部の八代茂裕氏、大倉奈々氏と三井化学人事部の櫨山義裕氏が両社の取り組みを披露。人材紹介のジェイエイシーリクルートメント事業推進部の黒澤敏浩氏が転職市場の現状を報告した。

 藤本氏は、2019年の転職者が約306万人に上り、男女とも40代の中年層の増加が目立つこと、50代男性は転職後の賃金が下がる傾向にあること、35歳以上の転職は専門性の有無が成否を決めること、などを解説した。

 湖池屋の場合は、食品事業の多角化で専門人材の中途採用を積極化しているが、給与面で会社と転職者にギャップがあるため、給与以外の待遇を上げることなどで理解を得ている。三井化学も、事業内容を従来の素材提供型から社会課題解決型に移しつつあり、新たな即戦力として中途採用が半分以上を占めるようになっていることから、リファラル(社員による紹介)採用など採用ソースの多様化や専任担当者の確保などで対応しているという。

 26日のパネルディスカッションでは、連合総研の中村天江主幹研究員も加わり、中途採用の実態について議論した。

 中途採用者の戦力化については「入社後の研修などを通じて理解を深めてもらう」(櫨山氏)、「採用前後に既存社員との"面談"を実施して、孤立しにくい環境を作る」(大倉氏)といった対応を披露。中途採用者の社内的な役割について、採用者と既存社員の間で認識を共有できるかどうかが重要という点で、参加者の意見は一致した。


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