2025年度の最低賃金(最賃)の改定額が5日、全47都道府県で決まった。厚生労働省によると、全国加重平均(時給)で1121円となり、昨年の1055円から66円(6.3%)アップとなった。これは1978年の「目安制度」導入以来の最高額で、全都道府県で初めて1000円を超える。
最賃の引き上げ額は、厚労省の審議会が都道府県の経済情勢に応じてA~Cランクに分けて示す「目安」を参考に、各都道府県の審議会が決める。厚労省では今年、地域間格差の是正を目指してCランクを64円、都市部のA、Bランクを63円とし、平均で63円アップの1118円を目安に設定した。
ところが、賃金格差によって労働力の流出に危機感を強めるB、Cランク県などを中心に大幅引き上げの議論が強まり、39道府県で目安を上回る答申を出した。最も大きいのは熊本県の82円で1034円。昨年、全国で最低となった秋田県も80円引き上げ、1031円を答申した。この結果、最高は東京都の1226円、最低は高知、宮崎、沖縄各県の1023円となり、最高と最低の差は前年より9円縮小して203円になる。
最賃は答申後、10月に発効するのが通例だったが、今年は引き上げ幅をめぐって労使の対立が深刻化した県も多く、10月発効は栃木県など20都道府県にとどまった。秋田県は最も遅い来年3月31日としている。