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2026年1月20日

生成AIは「生計に重大な脅威」、約9割のクリエイターが回答 フリーランスリーグ調査 日本外国特派員協会で会見、提言と「絵を描く人」の連帯組織設立支援も発表

n260120_01.JPG フリーランスで働く人の実態調査や政策提言などを発信する一般社団法人「日本フリーランスリーグ」(FLJ・西野ゆかり理事長)が19日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で会見し、「生成AIと日本のクリエイターの未来」と題する調査結果を報告した。日本のコンテンツ産業の中核を担う人材が、生成AIの広がりで心理的不安や創作意欲の減退にさらされている実態が浮き彫りとなり、西野理事長は「今後のコンテンツ産業の持続可能性と生成AI活用のバランスをどのように考えていくかが重要」と強調した。調査期間は2025年9月30日~10月31日で、回答数は2万4991件。

 会見には、FLJの西野理事長と名誉会長で漫画家のやくみつる氏、高田正行理事が登壇し、調査結果の要点を説明。それによると、回答数のうち、イラストレーターが54.2%、漫画家15.0%、アニメーター2.2%で、「絵を描く人」の職種が7割超。生成AIの影響が最も早く広がり、作風模倣や無断学習の問題が大きく顕在化した職種であると読み取れる、と指摘。また、自身の生計にとって「重大な影響となるか」をたずねたところ、「強く思う」が65.3%、「ややそう思う」が23.3%となり、合わせて約9割に上った。

 生成AIの影響で、収入や売り上げが「減った」とする回答は12.0%と経済的損失は限定的だったが、今後のキャリアとして約1割が「創作活動以外の収入源確保」を選択しており、本格的な市場再編を見据えてクリエイター自身の意欲減退の兆候がみられた。このほか、AI学習データの著作物リスト公開を法律で義務化することに対し、「非常に重要」が85.8%に達し、生成AIの運用における「透明性」「同意」の欠如に対して強い不信感がうかがえた。

n260120_02.JPG 調査結果を踏まえ、FLJは行政・政府への提言として(1)AI開発企業に対し、データセットの出所・範囲の開示を義務付け、オプトイン(事前許諾)環境を整備(2)生成物のラベリングの義務化と悪質な権利侵害に対するガイドライン策定(3)データ使用料のライセンスや収益シェアなど、クリエイターに利益還元されるスキーム構築(4)クリエイターの権利保護と親交を一元的に担う専門機関の設置――を挙げた。また、クリエイターと業界への提言として(1)既存団体の枠を超えたギルド的組織(同種・同業組合)の再構築と政策決定プロセスへの積極参加(2)契約、権利、制度に関するリテラシーの強化(3)感情論ではなく、定量データなどエビデンスに基づく意見表明――を提案。これに関連したアクションプランとして、「絵を描く人」の連帯基盤となる組織の設立支援を発表した。組織の発起人は、イラストレーターで画家の小池アミイゴ氏と漫画家の森川ジョージ氏が務める。

 会見では、調査結果と提言、アクションプランを踏まえ、登壇者と海外・国内のメディアが活発な質疑応答を展開。生成AIとクリエイターをめぐる課題に対し、記者の関心の高さをうかがわせた。西野理事長は「生成AIに賛成・反対の是非を確認する調査ではなく、両立を見極めながらコンテンツ産業の未来につなげたい」と訴えた。調査結果と提言については、2月にも国会議員や関係する行政機関に対して説明会(会見)を予定している。

 「フリーランスは、日本を動かすエンジン!」をスローガンに掲げるFLJは、2024年4月に設立。フリーランスで働く人の現場を精緻に調査し、労働環境の改善、予期せぬ出来事にも対応できる安全網の強化、権利擁護などを進め、フリーランスの地位向上を目指している。併せて、発注側とフリーランス側双方のフェアな環境づくりを促進し、産業と業界の発展に向けて活動している。


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