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2017年5月 1日

連合の第88回メーデー中央大会

終盤国会と都議選を意識~神津会長、塩崎厚労相、小池都知事、蓮舫・民進代表

sc170501_1.jpg 東京・代々木公園で4月29日に開かれた連合の第88回メーデー中央大会。登壇者からは、終盤を迎える通常国会や、7月2日投開票の東京都議選を意識した発言が目立った。政府の「働き方改革実現会議」に参画して存在感を示した主催者の神津里季生会長。政府代表として招待され、3年連続で出席した塩崎恭久厚労相。昨夏の都知事選で国政政党の支援候補2人を制して勢いを保つ小池百合子都知事。連合から支持を受ける政党として強固なつながりをアピールしたい民進党の蓮舫代表。それぞれの主張や狙い、思惑が交錯した4氏の挨拶の中から、主要な発言を記録する。(報道局)

神津会長 「残業時間上限の誤解や悪用を許さない」

sc170501_2.jpg 政府を代表して塩崎厚労大臣にお越しいただきました。そして、東京都の小池知事にお見えいただいております。東京都知事には毎年、メーデーのご案内状を出していたのですが、かつての知事の中には労働組合に全く見向きもしない方もいました。小池知事ご本人の参加を心より歓迎申し上げたい。そして、われらが民進党からは、蓮舫代表にお越しいただきました。今年は大変豪華な顔ぶれをご来賓にお迎えすることができました。

 さて、今年のメーデーのスローガンは「長時間労働の撲滅、ディーセントワークの実現、今こそ底上げ、底支え、格差是正の実現を」としました。今まさに私たちは働くことに関わる新たな常識と、そのもとでの歴史を、働く者自らの手で作り出していく、その大きな節目に立っています。

 まず初めに、春季生活闘争について。全体では4年連続となる賃上げの流れを作り出しています。中小企業、パート、有期契約などで働く仲間の賃上げが大手を上回る、あるいは正規を上回るというこれまでとは異なる新たな傾向を引き出しました。春闘の歴史が始まって以来の初めての傾向です。この流れを全体に広げ、暮らしの底上げのうねりを日本全体の働く仲間すべてにつなげていかなければなりません。

 次に、働き方改革について。政府の実現会議で実行計画が取りまとめられ、労使合意に基づき、長時間労働の是正に向けて、時間外労働の上限規制が法制化される見通しとなりました。痛ましい過労死を防ぎ、誰もが希望を持って、男女ともみんなが仕事と生活を両立できる社会を実現していかなければなりません。そのためにはそれぞれの労使があるべきマネジメント、あるべき働き方を追求し、社会全体で労働時間を最適化していかなければなりません。間違っても「上限ができたなら、そこまでは働かせていいのだ」という誤解や悪用を許してはなりません。私たちは今回のことを、労働時間に関わる新たな常識を広げていくチャンスととらえなければならないと思います。

 また、雇用形態の違いの中での不合理な待遇差の解消、いわゆる同一労働同一賃金についても、法改正だけにとどまらず、集団的な労使関係を通じて職場で働くすべての人の思いを形にすることが不可欠です。

塩崎厚労相「成長と分配の好循環をつくる」

sc170501_3.jpg いま政労使で働き方改革を断行中ですが、そんな中、メーデーに3年連続ご招待いただいて、心から感謝を申し上げます。3月28日には総理を議長とし、神津会長を含め労使トップが参加した働き方改革実現会議で実行計画が取りまとめられました。日本の働き方を変える歴史的な一歩になったと考えております。

 中でも重要なテーマは長時間労働の是正。実行計画の策定過程において、神津会長には多大なるご尽力、ご貢献をいただきました。戦後これまで長い間、労使間で合意の得られなかった時間外労働の罰則付きの上限規制を法律で定めるという課題について、連合と経団連のトップ同士で話し合っていただき、大きな決断のもとで画期的な労使合意をしていただきました。労働基準法70年の中でもこれまでにない大きな制度改革の道筋がついたということの歴史的意義は大変大きいと思います。

 もう一つの重要課題は同一労働同一賃金の実現です。そのためにはガイドライン案の前文にも示しましたが、職務の明確化とそれに基づく公正な評価を推進し、それに則った賃金制度を労使の話し合いによって可能な限り速やかに構築していくことが必要です。同一労働同一賃金の実現が働く方々のやる気を引き出し、企業の生産性、さらには賃金アップという形で働く方々に還元する、すなわち働く喜びと成長の好循環を達成することが今後のわが国には重要です。今年の春闘では、一部の企業では正規だけではなく、非正規を対象とした手当を創設する動きも広がりつつあると聞いております。今後こういった新しい動きが多くの労使の間で広がっていくことを期待します。

 今後この実行計画を前提に、労働政策審議会でスピード感を持って審議を行い、政府としては関係法律案を早期に国会に提出したいと準備を進めております。安倍政権は働く場を増やし、働く方の賃金を上げ、正規・非正規の不合理な格差を解消し、労働生産性の向上を実現し、成長と分配の好循環を作ってまいります。

小池都知事「長く働けば利益が上がる時代は終わり」

sc170501_4.jpg 昨年8月に東京都知事に就任以来、「東京大改革」を進めることを訴えております。都政の見える化を図るとともに、誰もがいきいきと輝ける新しい東京の実現を目指しております。その柱は3つ。安心・安全なセーフシティ、誰もがいきいきと輝けるダイバーシティ、環境や金融で世界をリードするスマートシティの実現です。この3つに共通するカギは、働き方改革です。

 都庁ではまず「塊より始めよ」で、20時完全退庁ルール、育ボス宣言で育児や介護にあたる職員の幹部の理解を深めていくこと、ペーパーレス化、テレワークの試行など心技体3つをそろえて仕事の進め方自体を変えるなど、「ライフワークバランス」の確保に取り組んでいます。東京都としては、ワークはもちろん重要ですが、人生こそ重要、ということで、「ワークライフバランス」ならぬ「ライフワークバランス」と呼ばせていただいております。

 民間企業における働き方改革の後押しをするということで、私自ら、経営者の皆さまにお願いをしております。いろいろ発信しております。昨日も「時差ビズ」ということで、快適通勤を可能とする鉄道会社と企業の皆さまとともに、満員電車から解放される方法を進めて行こう、というキャンペーンを始めました。そして働き方改革に賛同する企業、東京都においては2020年までに5000社賛同企業を増やす動きを強めています。実際にそれを進める企業には、東京都からも支援をします。また、テレワークを進めることも働き方改革の柱のひとつと考えています。今年度は国と連携してテレワーク推進センターを開設する予定です。

 さて、皆さん、長く働けば利益が上がる、そういう時代は終わりました。深夜まで働き続ける、それが美徳である時代は終わりました。私たち日本人は長時間働くことをむしろよかれと思っていた。ここは変えていきましょう。働き方改革を進めていきましょう。その先頭に立つのが連合の皆さんではありませんか。労働と雇用の環境を変えていく、そのけん引役こそが連合の皆さんだと思います。東京都としても連合の皆さんを支援していきたいと思います。東京大改革、そして日本大改革。連合の皆さんのご活躍に大いに期待します。

民進・蓮舫代表「連合に感謝、今後も密接に連携を」

sc170501_5.jpg 民進党は結党から一周年を迎えました。連合の皆さんのご協力に心から感謝します。今後も連合の皆さんと密接に連携しつつ、すべての働く方が安心して暮らせる社会、格差是正の実現を目指して参ります。その第一歩は長時間労働の解消です。長時間労働の苦しみを取り除き、安心して働ける環境を作ることは、政治の優先課題の高い責務だと思っています。民進党は昨年の通常国会に労働基準法改正案を提出しました。政府もこの3月に働き方改革実行計画を取りまとめ、これを踏まえて年内にも関連法を国会に提出すると見られています。

 一方で、政府はこうした長時間労働の規制に抜け穴を作りかねない、いわゆる「残業代ゼロ法案」の審議を引き続き国会に求めていることも事実です。安倍総理は2007年の第一次安倍内閣の時に、強い批判を受けて「残業代ゼロ法案」の導入断念に追い込まれました。ところが一昨年、再び国会に提出してきました。いかに安倍総理がこの法案に固執しているかは想像に難くありません。この中身に私たちは強く反対しなければいけません。残業時間を規制しておきながら、片方で規制の対象外をどんどん拡大していく。これでは残業時間規制の意味がほとんどなくなってしまうのではないでしょうか。

 さて国会は、政府が前代未聞の国会の前例を無視した強硬な手法で、いわゆる「共謀罪」の審議に入りました。なぜ今なのか、安倍総理の言動には矛盾があり、理解に苦しみます。共謀罪はテロ対策のためだと言っていますが、全くの誤り。党として断固として反対し、廃案に追い込みます。また、被災地にまったく寄り添わない今村前復興大臣のこれも前代未聞の放言がありました。いずれも、政府・与党の傲慢さの表れですが、こうした状況を許している私たち民進党にも責任の一端があると痛感しています。後半国会でも全力を尽くし、野党第一党として行政監視の立場から望んで参ります。

 民進党は本年を政治決戦の年と位置付けています。自民党に政権を奪われて以来、大変苦しい中でも、旧民主党、そして民進党を支えてくださった連合の皆さま、お一人おひとりに心から感謝を申し上げます。いかに皆様の支援が心強く、心の支えになったことでしょうか。折れそうな時でも「皆さんがいる」「皆さんの声を代弁する」「二大政党制を作る」「民主主義をしっかりと作り上げていく」という政党の責務を強く痛感することができました。これからも民進党は、働く仲間の皆さまとともに頑張ります。

 

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