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2021年6月 7日

改正育児・介護休業法が成立

男性の育休取得、本当に進むか?

 男性に育児休業の取得を促す改正育児・介護休業法が3日、成立した。2022年度中に施行される。「男性版産休」の導入などが目玉の改正法だが、現行法にも立派な規定がある。しかし、ほとんど有効活用されないことから、より柔軟な制度化に至ったものだ。新制度の成否は職場や男性の意識改革に掛かっている。(報道局)

 改正法では(1)子供が生まれた直後に、父親が通常の育休とは別に取得できる「男性版産休」を新設。生後8週までに最大4週間取得でき、2回の分割取得も可能。希望者は取得2週間前までに申請し、休業中の仕事も可能(2)勤続1年未満のパートら非正規労働者の取得も可能(3)企業は従業員に産休、育休の取得意向を確認する義務を負う(4)従業員1000人以上の大企業は23年度から取得状況の公開義務を負う――などが制度の柱となっている。

 政府は25年までに取得者割合を30%にする目標を掲げている。しかし、厚生労働省によると、19年度時点では7.48%にとどまっており、女性の83.0%とは天地の開きがある。しかも、取得した男性も取得日数は「5日未満」が36%を占め、それを含めて「1カ月未満」が8割。女性の9割近くが「6カ月以上」取っているのと対照的だ。

sc210607_2.png 男性正社員の場合、取得しなかった理由(複数回答)をみると、「会社の制度が未整備」が23.4%を占め、以下、「収入を減らしたくない」が22.6%、「育休を取得しにくい職場の雰囲気」が21.8%に上っている=グラフ。これらの理由は問題の根深さを改めて浮かび上がらせる。

 現行制度では、両親のどちらも子供の出生から1歳になるまでの間は育休を取得できる。ただし、会社への届け出は休業の1カ月前までで、休業中の仕事はダメ。休業中は180日まで67%の給与が支払われる。これは先進国中でも手厚い水準だが、せっかくの制度を上記のような理由で男性が活用していないのが実情だ。

 とりわけ、男性正社員には旧来の「仕事中心主義」「男女分業主義」の意識が根強く、会社や職場もそれを色濃く残している。しかも、日ごろの給与は長時間労働で得る残業代が大きな比重を占めており、休業すると残業代がなくなる。これが非正規社員になると、賃金水準が元々低いため、休業が生活に直接響くことになる。

 新制度ではこうした事情を考慮して、「男性版産休」の導入や休業中も仕事ができるようにするなど、より柔軟な内容にした。男性版産休などは、妻にとっても出産直後が肉体的、精神的負荷の最も掛かる時期だけに、夫が1カ月近く休んでくれれば、負担は大きく減ると予想され、新制度もこの辺から定着することが期待される。

テレワーク、ジョブ型の普及が後押し

 また、定着の大きなカギになると思われるのがテレワークの普及だ。テレワークは新型コロナウイルス対策として導入機運が一時高まったが...


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