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2014年10月16日

派遣法改正案、21日以降の週内審議入りで調整  野党共闘による「対決法案」に至らぬ公算

 政府が臨時国会に「再提出」した労働者派遣法改正案について、全野党が反対で一枚岩となる「野党共闘」に至らない公算が高まっている。そうした中、政府・与党は来週21日以降の衆院本会議の定例日(火曜・木曜・金曜)に審議入りする方向で調整に入った。23日が有力視されている。

 そもそも、派遣法案については野党第2党の議席を有する維新や次世代、みんななどの動きが重要で、アドバンスニュースは与野党「対決法案」という表現が適切かどうか指摘してきたが、16日までに各党の派遣法案に対するスタンスが水面下から公(おおやけ)の形で見えてきた。ただ、法案の是非とは無関係の事案が起きて「野党共闘や国会対策、連携」を優先する可能性も最後まで否定できなく、予断を許さない状況は続く。

 派遣法案に絶対反対の姿勢を貫き、審議入りの阻止を狙う民主と共産と社民などは、先の通常国会で特に野党の存在を示す“見せ場”をつくり出せなかったことから、臨時国会では結束した「野党共闘」を模索していた。その協議には維新などもテーブルに着いているが、派遣法案に関しては足並みが乱れている。

 維新の橋下徹共同代表(大阪市長)は14日、大阪市役所で記者団に「民主党は対決姿勢でいくだろうけど維新の党は違う。派遣法改正案については、基本的には賛成する方向だ」と明言。加えて、「非正規労働者を、非正規労働者としてしっかり守っていく。正規と非正規を区別せず、職務が同じであれば賃金も同じだと明確にしなければいけない。正規と違う仕事の場合は、その仕事に見合った賃金。それなら『非正規が増えた』とヒステリックにならなくてもいい」などと述べている。

 また、維新は、当初から派遣法改正案に一定の理解と問題意識を持っており、10月に入ってからも労働組合や派遣事業者の業界団体の双方から2日間かけてヒアリングをするなど、丁寧に検討を重ねてきている。

 このほか、次世代は改正案に基本的に賛成する考えの所属議員が多く、近く「賛成」で意見集約する見通し。みんなは改正案にさまざまな意見があるが、派遣法を筆頭に野党共闘を呼び掛ける民主党との連携に慎重な姿勢が見られる。

 野党各党のスタンスも明らかになりつつあり、同時に審議入りの動きが具体化しているが、11月末までを会期とする臨時国会では日程的に決して余裕がないことに変わりない。また、会期内に成立した場合は、来年4月の施行に向けて12月から年明けにかけて改正法に基づく政省令を定める労働政策審議会が開かれる見通しだ。

 さらに、その後は現行法のいわゆる「平成24年改正法」の規定で積み残し課題となっている項目(日雇い派遣の原則禁止、グループ企業内派遣の8割規制、労働契約申し込みみなし制度のあり方、離職後1年以内の派遣労働者としての受け入れの禁止など)について、使用者側は廃止を含めた抜本的な見直しの検討に速やかに着手することを求めている。


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