「働き方改革」の一環で今年4月から運送業にも時間外労働の上限規制がスタートしていることを踏まえ、東京労働局(富田望局長)は労働時間削減に積極的に取り組む企業(ベストプラクティス企業)の好事例を広く周知している。このほど、富田局長はドライバーの負担軽減に向けて運送会社と複数の荷主が共同配送している事業責任者と意見交換。11月の「過重労働解消キャンペーン」と併せてPRした=写真・上。
東京・中央区にある運送会社・F-LINEは、味の素、カゴメ、日清オイリオグループ、日清製粉ウェルナ、ハウス食品の荷主企業5社と連携。「競争は商品で、物流は共同で」という理念のもと、同業他社の荷主が企業の垣根を越えて協力し、運送会社と一緒に物流環境の改善に取り組んでいる。
具体的には、5社の製品を共同で保管して配送するシステムを導入し、配送拠点の統合やトラック1台あたりの積載率向上を実現。輸送ルートの途中で別のトラックに荷物を移してドライバーも交代する「中継リレー輸送」を取り入れることで、負担軽減と効率化につなげている。
F-LINE本社を訪問した富田局長=写真中央=は、運送会社と荷主5社のこれまでの試行錯誤や改善手法、そして一歩踏み込んだ共同体制の構築に至るまでの経過について説明を受け、「とても先進的で画期的な取り組みを展開している。ドライバーの労働環境の改善につながるもので、上限規制の対応に悩む企業と働く人の双方に参考になる」と評価。東京労働局は、この日訪問した事業者の取り組みをはじめ、他のベストプラクティス企業の好事例も調べてホームページで紹介していく予定だ。
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