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2016年12月12日

「職業紹介等に関する制度改正」報告書の検証

「紹介事業の機能強化」と「求人・募集情報の適正化」を重視

 労働政策審議会労働力需給制度部会は12月7日、職業安定法改正につながる「職業紹介等に関する制度の改正について」と題する報告書をまとめた。求職者の視点に立ち、(1)紹介事業者の質と利便性の向上、(2)2000年前後を境に躍進してきた求人・募集情報提供事業者と紹介事業者との“境界線”――の主に2方向から、具体的な見直し項目を整理した。この動きは、人材サービス業界全体に「新たな枠組みや変革」をもたらす可能性もある。需給制度部会の前段となる政府の規制改革会議(当時)や厚生労働省の有識者検討会を含め、どのような課題抽出と議論を積み上げてきたのか。その変遷とともに、今回の報告書の見直しのポイントや今後の展開などを検証する。(報道局)

is161212.jpg 「見直しと整理」の必要性については、3年以上前の政府の規制改革会議(当時)でテーマに挙がり、2014年6月に閣議決定された「規制改革実行計画(全体)」にも盛り込まれた。さらに、その5カ月前の同年1月下旬には「同会議からの意見」という“先行単独”で、かつ検討開始の期限付きで提言されていたこともあり、所管の厚生労働省は15年3月に有識者検討会「雇用仲介事業等の在り方に関する検討会」を設置した経緯がある。

 同検討会は今年6月まで計16回にわたり、「求職者保護の観点」と「IT技術の飛躍的発展に伴う時代に適応した見直しの視点」を基軸に、関係者のヒアリングを踏まえ、多面的な角度から議論を展開。検討会としての報告書をまとめた。公労使で構成する需給制度部会は、報告書に「特段の異論なし」とし、9月15日からこれをたたき台に議論した。

 当然の流れのように見えるが、この案件以外では、有識者検討会が専門的見地から時間をかけて取りまとめた報告書に対し、主に労働者側が「たたき台として絶対に認めない」と拒絶するケースもあるだけに、今回は極めてスムーズな進行だったと言える。

規制改革、検討会、需給制度部会の変遷とポイント

 政権を奪還した当初の安倍首相は、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換(失業なき労働移動の実現)」を前面に掲げていた。しかし…

 

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